• 相続・事業承継

なぜ承継直前の対策はうまくいかないのか

2026/2/19

前回のコラムでは、事業承継は「相続の前」に、日々の財務から始まっている、というお話をしました。

ではなぜ、実務の現場では「承継直前の対策」がうまくいかないケースが多いのでしょうか。
その理由は、能力や努力の問題ではなく、タイミングと構造にあります。

 相談が始まるのは「時間がない」段階

事業承継の相談は、次のようなきっかけで始まることが少なくありません。

  • 体調や年齢を意識し始めた 

  • 金融機関から後継者の話が出た 

  • 相続税の概算を聞いて不安になった

この時点ではすでに、「考える時間」が限られているケースが多くあります。

 数字は短期間では変えられない

承継直前に「株価を下げたい」「税負担を抑えたい」と考えても、数字は簡単には動きません。

  • 利益の積み重ね 

  • 借入の状況 

  • 役員報酬や地代家賃

これらは数年単位で形成された結果です。
短期間でできることには、どうしても限界があります。 

税金以前に「経営の整理」が必要になる

直前対策が難しくなる理由は、税金の問題だけではありません。

  • 数字の背景が説明できない 

  • 後継者が決算書を理解していない 

  • 銀行との関係が整理されていない 

こうした状態では、制度を使う以前の段階でつまずいてしまいます。

後継者の準備にも時間がかかる

事業承継は、「引き継ぐ人」の問題でもあります。
後継者が、

  • 会社の数字を理解する 

  • 銀行と話せるようになる 

  • 判断に関与する 

には、一定の時間が必要です。
直前になって一気に任せようとしても、現実的ではありません。

早めに向き合うと、選択肢が増える

一方で、早い段階から承継を意識すると、

  • 数字の整え方を選べる 

  • 承継の方法を比較できる 

  • 後継者の準備期間を取れる

といった余地が生まれます。

事業承継は、「直前に何をするか」ではなく、「どれだけ前から向き合ったか」で結果が大きく変わります。

税理士が果たす役割

税理士ができることは、制度を当てはめることだけではありません。

  • 今の数字で承継するとどうなるか 

  • どこを整えると選択肢が広がるか 

  • 今すぐ必要なことと、後でもよいこと 

を整理し、承継を「突然のイベント」ではなく、計画的な経営テーマとして考えるお手伝いをします。

承継は「準備の時間」がすべて

承継直前の対策がうまくいかないのは、準備の時間が足りないからです。

相続の話が出てからではなく、その前に。
まずは、会社の数字と向き合うこと。

それが、事業承継を成功させるための一番確実な第一歩になります。


事業承継を、無理のない形で考え始めるために

事業承継は、「まだ先」と思っている段階ほど、実は取り組みやすいテーマです。

何から考えればよいか分からない場合でも、今の数字を整理することで、見えてくることが多くあります。

事業承継について、少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。状況に応じて、無理のない進め方をご一緒に考えます。

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